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教えの庭から「根腐れ」
教えの庭から「根腐れ」

 

 庭にバラを植えています。五十本くらいはあると思いますが、家内が七、八年前から植え始めたものです。初めは家内が一人で世話をしていましたが、次第に手伝うことが増え、いつしか共同作業になってきました。


 バラは管理が大変なものだと、経験を重ねるごとに思うようになっています。


 まず水やりが欠かせません。油断すると病気になりますし害虫もつきます。土がよくなるとモグラが来て根を浮かせますので、モグラ対策も必要です。きめ細かく消毒や施肥、咲き柄採りとか剪定、整枝をするなど実にたくさん仕事があります。


 そうして花を楽しんでいたのですが、今年はどういうわけか全体に花が少ないのです。一本の木に次々きれいな花を咲かせ、しかも大きな花を見せてくれる木も花をつけません。花だけでなく葉の力も弱々しく感じます。


 なぜだろうといいながら、家内は肥料をやったり水やりを続けていますが効果が見えません。天候のためだろうかとも思ってみるのですが、よそ様の家のバラはきれいに咲いていますので違うようで頭を抱えています。


 先日水をやりながら、枯れてしまったつるバラの根っこを見ていましたら水はけが悪そうになっていたのです。大急ぎで水はけのことを調べました。「空気が入らない土では根腐れがおこる」という説明があり、原因はそれではないかと考え始めました。


 話が変わりますが、先日安来市の足立美術館に行きました。お茶室で一服のお茶を楽しみ、手入れの行き届いたお庭を何気なく歩いていました。ふと足下を見ると、ビッシリと生えた苔の隙間から沢山の木炭が見えたのです。苔の下一面に木炭が埋め込まれていることを知りました。水はけをよくするためだろうと気づきました。


 この庭園は、世界一の庭園という評価を何年も連続して受けています。美術館を訪れる人は、目に見えるお庭の壮大な景観を楽しみますが、その蔭では大変な苦労があるのだということを知りました。


 話を戻します。見えないバラの根っこが人生を教えてくれます。見えないものが大切だという教えです。『星の王子さま』という本の中にもバラの教えがあります。「ものごとはね、心で見なければよく見えない。いちばん大切なことは目に見えない」ということばです。金子みすゞさんの詩にも、「見えないけれどもあるんだよ」という一節があります。仏教は、目に見えない「つながり」を縁起として説く教えです。


 私たちはいつの間にか、見えるものだけを大事にして見えないものに思いを向けることが薄くなってきたように思います。こころとか時間、もちろん仏様も神様も目には見えません。だからといってないと思わない方がよいと思うのです。バラは懸命に真実を教えてくれていました。