身近なところから
この地方には、身内の人がお亡くなりになったら、お葬式のあと遺族が「寺参り」と呼んで、お寺にお参りされる習慣がありました。
私がその習慣の意味を聞いたとき、「故人にかわって、お世話になったお寺にお礼申し上げるお参りだ」と聞いた記憶があります。
お葬式の後一週間以内に行われていた行事で、お参りくださるみなさんには10名くらい。ときにはおときの接待まですることがありました。
お葬式に集まった一族は、今では式が終わった翌日までには忙しそうにそれぞれの家にお帰りになります。この地に残る家族は、死亡手続きなどの所要に追われ、あるいは「寺参り」という意味が伝承されないままで、またそれを伝える親戚も少なくなってこの習慣はほぼ消えかけています。
というわけで現代ではその行事がほぼなくなりましたが、決めごとに厳しいご親戚の忠告があればあわてて行われるお方もときにはおられるのです。
久しぶりで寺参りのご連絡がありました。そしてあらためてどのような演出にしようかと考え始めたのです。
今までのやり方を踏襲するのではなく、この行事がいかにすばらしい意味を持った大切な行事であるのかを知っていただくことにしようと思ったのです。
その大切さを周囲の人々に話したくなるような行事にまでしたいと思ったのです。
所要時間のことやプログラムのことなど、ゼロから始めて、一緒になってお互いに充実感が生まれる行事に変えるつもりです。